スマホを置いて、お子さんと出かけませんか
「子どもにせがまれて買ったおもちゃなのに、結局三日しか遊ばなかった」。
よくある話ですよね。でも、半年前に家族で行った動物園のことは、今でも嬉しそうに話してくれる。この違い、何だと思いますか。
モノで得た満足感は、開封した瞬間がピーク。でも体験は、記憶として何度も蘇り、その度に子どもの中で意味を変えていきます。
「不便を楽しむ」体験を
私がおすすめしたいのは、あえて不便な状況を作って出かけることです。
・スマホは家に置く
・一人2,000円だけ持つ
・行き先だけ決めて、あとは現地で考える
たとえば大濠公園。「ボート乗りたい」と言われたら、まず料金看板を探す。1500円で足りるか、自分で計算させる。券売機の前で「2人乗りと3人乗り、どっちがいい?」と選ばせる。
福岡市科学館に行ったとき、展示物の楽しみ方がわからなかったらどうしますか。多くの親は反射的にスマホで検索するか、自分で説明してしまう。でも、ここで一歩我慢してください。
「あのお姉さんに聞いてみたら?」
スタッフさんのところまで歩いていく。「すみません、これはどう使うんですか?」と自分の口で言う。説明を聞いて理解する。お礼を言う。引っ込み思案な子には少しハードルが高いと思いますので、その場合は親みずからスタッフさんに質問する姿を見せるだけでもいいのです。
太宰府の九州国立博物館まで電車賃往復が約700円。特別展の入場料600円。残り700円で昼食をどうするか。700円以内で食べられる店を探すか、700円を食べ歩きグルメに使うか。でも、お土産がほしいなら何かを我慢しなければなりません。
お金の計算、優先順位。全部、頭をフル回転させないとできません。
油山市民の森(ABURAYAMA FUKUOKA)では、紙の案内図や案内看板だけを頼りに目的地を目指してみてください。
「今どこにいる?」 「あの看板、何て書いてある?」 「次はどっちに曲がる?」
状況を判断する力がぐんと伸びます。
「不便」が脳を鍛える理由
人間の脳は、問題解決のために進化してきました。
・お金が足りない→どう工夫する?
・道がわからない→どう調べる?
・使い方がわからない→誰に聞く?
こういう「困った状況」でこそ、脳が活発に働きます。逆に、すべてが便利だと脳は怠けます。
スマホですぐ答えが出る環境で育った子は、「わからないこと」に耐えられません。少し考えればわかることも、すぐに「わからない」と投げ出す。
でも入試問題は、すぐに答えが出ないようにできています。試行錯誤して、粘り強く考え続けた子だけが正解にたどり着く。
たまにはスマホを置いて、2,000円だけ持って、どこかに行ってみてください。
きっと、普段見せない子どもの顔が見られます。必死に考える顔、人に話しかける勇気を振り絞る顔、自分で判断できた時の誇らしげな顔。
その表情こそが、成長の証です。
福岡国語塾ARCAでも、「すぐに答えを求めない姿勢」を大切にしています。わからない問題があったとき、すぐに解説を見るのではなく、まず5分間自分で考える。それが、本当の学力を培います。
便利さは、人生を楽にしてくれます。しかし、困難な状況を前に粘れる力、そしてその状況を楽しみながら乗り越える力も同じくらい必要です。便利さにあふれた時代だからこそ、お子さんに「不便を楽しむ力」をプレゼントしてあげてください。




